アルツハイマー病治療薬の実用化を促進

 15, 2008 12:00
アルツハイマー病治療薬の実用化を促進

高齢化の進展で認知症への対策が社会的な課題になる中、理化学研究所脳科学総合研究センターの構造神経病理研究チームが、アルツハイマー病の原因となる酵素「ベータセクレターゼ(BACE1)」の立体構造を特定し、活性のメカニズムを解明することに成功した。研究チームは「新たな薬剤の設計など、アルツハイマー病治療薬の実用化に向けた研究が促進される」と期待しており、成果は米国の学術雑誌「Molecular and Cellular Biology」の6月1日号に掲載された。

日本には現在、100万人以上の認知症患者がいると考えられ、約半数がアルツハイマー病とみられている。アルツハイマー病は今後、さらに増加すると予測され、治療薬の早期開発が求められている。
 アルツハイマー病は、「BACE1」と「ガンマセクレターゼ」という2つの酵素が「アミロイド前駆体タンパク質(APP)」を切断し、老人斑を構成する「アミロイドベーターペプチド」を造ることが原因と考えられている。このため、これら2つの酵素を阻害する薬剤の研究開発に世界各国が挑戦している。

同チームによると、BACE1は生体内の環境によって、非活性状態から積極的にAPPを切断する活性状態に変化する。しかし、これまでは活性状態にあるBACE1がどのような形をしていて、周辺の環境に応じて活性をどうコントロールしているかは不明だった。
 そこで同チームは、生体内で微妙に変化するさまざまな状態のBACE1の結晶を造り、理研が所有する世界最大級の大型放射光施設「Spring-8(スプリングエイト)」のエックス線結晶解析システムを利用して、構造解析を試みた。その結果、BACE1の立体構造を原子レベルで特定でき、BACE1の活性状態をとらえることに成功した。

 この成果によって、BACE1が活性状態になると、APPを取り込んで切断するための「ポケット」が大きく開くとともに、「ポケット」内部の形状もAPPを取り込みやすいように変化していることが分かった。一方、非活性状態では「ポケット」が閉じており、APPが入り込めないことなども突き止め、BACE1がAPPの取り込みや切断反応を厳密にコントロールしていることが明らかになった。

 同チームの貫名信行リーダーは「研究で特定に成功した活性型のBACE1の構造情報を薬剤の設計などに活用すると、アルツハイマー病治療薬の創製へつながると考えられるほか、生体内でのBACE1の働きをうまく制御することが可能な薬剤の開発にも期待できる」と話している。

Spring-8
 兵庫県西播磨地域の「播磨科学公園都市」にある施設。放射光(シンクロトロン放射)は、ほぼ光速で進む電子が進行方向を磁石などで変えられた際に発生する電磁波で、遠赤外から可視光線や軟エックス線などを経て硬エックス線に至る幅広い波長域で放射光を得ることができ、国内外の研究者の共同利用施設として、物質科学、地球科学、生命科学、医学など多様な分野で利用されている。

参照:キャリアブレイン




がんばれ。
治る薬をみんなが待ち望んでる。

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